高齢化と少子化が進み相続に対する関心がむしろ高まっています

昔のことになりますが、「会ったこともない遠い親戚から巨額の遺産を相続した若者」といったシチュエーションのお話がよくあったものです。または、祖父母からの遺産を受け取った若者など、とにかく相続で受け取るのは若い人たち、というイメージが長くあったのです。

ところが、いまの日本ではまったく違うのです。高齢化社会となって、財産を残す人が90歳ぐらいまで長生きし、相続がはじまるのは、相続人であるお子さんが70代であったりすることも珍しくありません。相続人にすでに孫がいる、といったケースがあります。

こうしたことによって、相続で問題になることがいくつか出てきました。相続人をはっきりさせたいのですが、たとえば愛人のところに子どもがいたはず、というのを生涯隠していた場合、関係者が全員高齢になっていることなどから、探してもなかなか見つからない可能性が生じます。

このようなドラマチックな場合でなくても、何回か離婚して実子がどこかにいる、というのがそもそも見つけられない。やっと発見してもすでに亡くなっていて、その家族を探し出すことも困難になっていく……。

ご存じにように、「誰が相続人か」をはっきりさせない限り、きちんと滞りなく相続は完成しません。「集まった人たちだけで適当に分ける」なんてことはできないのです。

相続人たちも高齢になり、こうした調査をしたり、昔の記録を探す、記憶をたどることが困難になってくると、ますます全容が不確かになってしまいます。

相続人だけではなく、相続財産をはっきりさせなければなりませんが、亡くなる前に当人にいくら尋ねてもはっきりしないまま、ということもあり得ます。どこに財産があるのか。またはどこに借金があるのか。それがわからない限り、相続は完成しません。

このように高齢化によって相続をめぐる問題も多様になってきました。

また、少子化も影響してきています。相続人が相続の発生する以前に亡くなっているときに、相続人の直系の子がいれば、その子に相続の権限があります。ところが少子化でそこにも相続人がいないかもしれません。

亡くなるかなり前に、頭がはっきりしているうちにと書いた遺言に記された通りの相続は困難になってしまうかもしれないのです。

相続人のいない相続では、なんにもしないと国庫に収納されてしまいますから、亡くなる前によく考えて、遺言で寄付先をきちんと示すなどしておく必要があります。

このように、高齢化、少子化によっていま、相続と遺言についての関心がとても高まっていると言えます。これは、他人事ではなく、ご自身の問題でもあるのですから、ぜひ、基本的な知識だけでも身につけておき、しっかり考えを持つようにしたいものです。