同性愛の夫婦にとっての遺言で思いを伝えていくための工夫とは?

いまから10年ほど前までは、同性愛のカップルが遺言を公正証書でしようと、公証役場へ行ったら「公序良俗に反するからダメだ」と言われたといったエピソードがありました。しかし、この数年で、こうした状況は大きく変わってきています。

たとえば、平成25年12月5日、民法の画期的な改正がありました。民法の法定相続分の規定には、これまで嫡出でない子(非嫡出子)の相続分について、嫡出子の相続分の2分の1にする規定があったのですが、それを削除したのです。

つまり、この改正が効力を発揮する平成25年9月5日以後の相続については、嫡出子と非嫡出子の相続分は同等となったのです。法律では「嫡出でない子」とされているのは、法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子のことです。

考えてみれば、父母が法律上の婚姻関係にあるかどうかは、子どもからすれば関係のない話です。自分で選択できることではありません。生まれながらに、どうしてそんな差別を受けるのか、長く問題にされてきました。それが、ようやく、法改正になったわけです。

ただし日本ではまだ同性愛者の婚姻を法的には認めていません。それでも人生のパートナーが性別だけで決定できなくなってきているのは事実。時代の流れです。相続について配偶者の権利がしっかり法律で規定されています。でも、それはあくまで法律上の婚姻関係にある場合、または裁判では事実上の婚姻関係にある場合まで拡大して認められてきています(必ずしもではありません)。

そうなると、同性愛でもパートナーに死後、ちゃんと相続してほしいと考えるのは自然なことですし、同性愛を支援する団体に寄付したいと考えても不思議ではありません。

こうした場合も遺言が役に立ちます。公正証書遺言で、パートナーの相続分を明示しておくことができますし、特定の団体に寄付することもできます。お世話になった人に遺贈することもできます。

このときも、遺留分はありますので、誰を遺言で相続人に追加したとしても、法的に遺留分のある人たちにも一定の財産を分与することになります。この点は忘れてはならないでしょう。法定相続人に愛情があまり感じられないとしても、法律上は、相続できる立場にあるのです。

このほか、晩年、身の回りの世話をしてくれた人に特別に残すこともできますし、ペットの面倒を見る人に残すことも可能です。

私たちは自分の死後、困ったことになってほしくない人たちに対して、責任があります。そうした人たちが、自分の死の悲しみ以上の悲しみを背負うことのないように、生きている間にしっかり対応をしておくこと。それが、現代にとって、愛情の一つの表現にもなるのです。