非嫡出子への差別がなくなった画期的判決の影響と遺留分の基礎

平成25年9月4日、最高裁の大法廷で決定された判決は、民法に定めた相続の規定のうち、非嫡出子は、嫡出子の2分の1を相続分としている部分を「憲法違反」と断定し、封建主義的な家長制の時代に定められたまま、戦後も引き継がれてきたこの規定に合理的な理由はないとしました。

最高裁は大法廷と小法廷があります。どちらも判決の効力は同じですが、大法廷は憲法など法律の根幹に関わる大きなテーマを主とします。

非嫡出子は、戸籍上は親子ではない子のこと。従来の考えでは、日本は戸籍制度があり、それに基づいた家族制度があり、それを守るための婚姻制度や相続制度として考えられていました。

かつての時代に、戸籍上の子が不利益になることがあれば、家長制が揺らぎますし、そもそも戸籍や家族という概念を脅かしかねないと考えて、あえて、相続でも差をつけていたと思われます。

しかし、この最高裁判決は主に2つの理由から、時代の変化に応じて解釈を変える必要があるとしたのです。その理由の1つ目は「時代の変化」です。すでに家長制はなく、核家族が基本単位となっている現代では、婚姻していない父母の子だからといって、差別される理由がありません。たまたま戸籍上で婚姻している間に生まれた子と、そうではないときに生まれた子でも、親子は親子なのです。

もう一つの理由は、国際化です。すでに1960年代から先進国ではこうした規定の撤廃がはじまっていました。遅れていたドイツも1998年(平成10年)に、非嫡出子の相続法上の平等化に関する法律ができています。またフランスは2001年(平成13年) に、やはり法律が作られ、嫡出子と嫡出でない子の相続分に関する差別が撤廃されました。

こうなると、日本だけが守り続けていると、いろいろ不都合が起こります。フランスは事実婚も多いので、そこで生まれた子は、日本では非嫡出子になります。ですが、そんな意識はありません。なぜ区別しなければならないのか、というわけです。その「なぜ」に私たちは明確に答えることができないと、最高裁は判断しました。

このように、いまではほとんど意味のない制度になってしまっているのだから、変えましょうという意味合いがあります。このままこの法律を継続することは、憲法14条「法の下の平等」に反するとしたのです。

こうして民法も改正になり、平成25年9月5日以降に発生した相続から適用されています。またこの判決で対応した事件の日付に関連して、平成13年7月1日以後に開始した相続のうち、遺産分割が確定していないものも適用されます。この判決の対象となった相続が平成13年7月1日に発生したものだったのです。

遺留分とは、法律で定められている相続人が最低限受け取ることのできる相続分のことです。基本的に、相続は被相続人(亡くなった人)の意思を反映します。だからといって「愛人に全額」とか「すべて寄付」としてしまうと、家族なのに路頭に迷う人が出て来ないとも限りません。

被相続人の意思は尊重しますが、遺留分も守られるというわけです。ただし、なにもしなくても守られるわけではなく、「遺留分をください」と「遺留分減殺請求」をしなければいけません。これは10年で時効になってしまいます。

遺留分は法定相続人が配偶者や子の場合、相続財産の2分の1です。親だけが法定相続人のときは3分の1です。法定相続とごっちゃにしてはいけません。法定相続は民法上でお勧めしている分割方法です。それを必ず守らなければいけないわけではありません。しかし遺留分については裁判をすれば勝ち取れるものなのです。