国際結婚をしている人にとって相続が発生したらどうなるのかと思っている人も多いかもしれません。まず、この原則だけは覚えておいてください。相続は被相続人の本国の法律に従います。被相続人、つまり亡くなった人です。その人の国籍がどこにあるかによって、その国の相続に関する法律が適用されます。

相続は貰う側(相続人)の都合ではなく、あくまで遺す側、被相続人の意思なのです。このため、どの法律を使うかは、被相続人の国籍しだいということになります。

たとえば、被相続人は生前にフィリピンの女性と浮気をし、それが原因で離婚。日本に子がいましたが、その後、浮気相手のフィリピン人女性と再婚し、その間にも子を設けました。

こうして亡くなってしまうと、誰がどのような相続になるのか、というのが気になるところです。この場合、被相続人は日本国籍なので日本に住んでいますから、日本の法律に基づいて相続をすることになります。

別れた最初の妻には相続の権利はありません。しかしその間に生まれている子は直系親族なので相続人です。またフィリピン人女性は配偶者なので当然に相続人となり、その間の子も相続人となります。

ただし、もし被相続人だけたとえば日本で入院していて、フィリピン人の妻と子がフィリピンにいるような場合は、きちんと話をしなければならない手間がかかりますね。「法律でこうだから」と言えば終わる話ではないでしょう。

では、被相続人もフィリピンに行ってしまった場合はどうか。こうなるとフィリピンの法律によって相続をすることになってしまうことになりかねません。日本とフィリピンの両方に財産が残っている場合などは、かなり面倒なことになるでしょう。

国際結婚をしたとき、そしてどこに居住するかによっては、現地の法律にも詳しくならなくてはなりませんし、自身が万が一、事故などで急逝することも含めて事前に考えて手を打っておくべきです。

相続人の相続税は、相続人の本国で課税されます。たとえば、米国人の夫と日本人の妻、その子という組み合わせで、米国に住んでいたとき、夫が急逝したとします。このとき、相続は米国の法律に従って手続きされていきます。が、日本人妻がつい最近まで日本に居住していて日本にまだ住居もあるなら、日本で課税されます。たとえ外国籍でも日本に住居があるときは日本で課税されるのです。

このように、原則がわかっていても、実際にはかなり複雑になってしまうのが国際結婚による相続なのですから、より慎重に調べて、生きている間に遺族が迷わないようにしておきたいものです。