オヤジがすごく若い嫁さんと突然結婚して間もなく他界したケース

「悔しいんですよ」とJさんが訴えてきました。Jさんの父親は闘病中に離婚。病院で知り合ったらしい若い女性と再婚しました。

そのおかげもあってか、一時は退院をして自宅療養までできるほどになったのですが、再発して再入院。その後、帰らぬ人となってしまいました。

Jさんの母親とは30年暮らし、最初の闘病時にも献身的に尽くしたのです。それが、離婚によって肩の荷は下りたものの、わずか1年半ほどしか結婚していない若い女性が、家からなにからすべてを自分の名義に書き換えていたのです。

離婚しているのでJさんの母親は相続人にはなりませんが、Jさんら兄弟は被相続人の実子なので、子として相続ができます。ところが、主要な財産であった家屋と土地は彼女名義になっており、「相続財産ではない」と主張しているのです。

土地と家を除けば、遺された財産はわずかで、中古のクルマを処分したり、株券を処分しても数百万円にしかなりません。入院していた関係で借金も残っていましたので、相殺すると各人に10万円ほどしか残りません。

「なんか、理不尽ですよね!」とJさんは言いますが、正式に離婚し、再婚しているのでこの点についてはどうにもなりません。あとは、生前に妻名義にしている土地家屋。これが主要な財産であることは間違いありませんが、若い妻の主張によると「多額の借金の返済をしたから」と言うのです。

調べてみると、父親はそれまでに負った1000万円近い借り入れを、彼女に返済してもらっていました。そのうちの500万円は離婚時の慰謝料だったようです。

こうなると、あえてもめて事を荒立てるのもどうか、という気になってくるものです。もし、生前に一度でも父親と会う機会があり、Jさんが事情をちゃんと聞いていれば、妙に母親の肩を持って憤る必要もなかったかもしれません。

父親には説明するチャンスがありました。一時的には回復して自宅療養していたのですから、その時にでも、面倒でも子たちと話をしておくべきだったでしょう。

この件には後日談があり、父親が入っていた生命保険の受取人は、Jさんの母親だったので、保険金を受け取ることができたそうです。おそらく、彼なりにバランスを考えて、保険の名義は離婚後もそのままにしておいた可能性があります。

「どうしますか? 法廷で争いますか?」という弁護士の言葉に、Jさんは最終的にもめ事は避ける決断をしました。

それにしても、こうしたことは、できれば生前にきちんと話しておくか、遺言によって明らかになるのようにしておいた方がいいでしょう。

まして大病のある人はいつ亡くなるかわからないわけですから、責任をまっとうするためにも生前の手続をきちんとやっておきたいものです。