もめる相続は財産の規模とは関係ないのです

相続をめぐるトラブルはとても多く、とくに少子高齢化社会を象徴するかのように、相続人も高齢になっていたり、亡くなっていることもあって考え方の違う相続人が増える傾向もあってか、亡くなられた方の本当の意思がちゃんと伝わるとは限りません。

きちんとした相続を考えずに亡くなってしまうのは、いまの時代ではある意味「無責任」と言われてもしかたがありません。それぐらい、相続は生きている間にきちんと道筋をつけておくのが常識になっているのです。

まして、事業を経営されている場合はよほど慎重に計画をしておかなければ、事業の基盤そのものが揺らぎかねません。それは規模の大小に関わりません。むしろ小さいビジネスの方が、相続の失敗で大きな損失を生じる可能性が高いと言えます。

アパート経営をしている、飲食店を営業しているといったこぢんまりとしたビジネスは、当人が思っている以上に相続でとんでもない事態に陥るケースがあるのです。なにしろアパートも、飲食店もその不動産を切り刻んでしまったり、売却してしまったら立ちゆかなく可能性があります。

かといって、相続人全員が満足するように平等に遺産を分割する余裕があればいいですし、相続人の利害が一致して、多少の不平等も了解を得られるのであれば問題は少なくなります。このようなスムーズな相続ばかりではないのが現状です。

これはそれほど大きな財産は持っていないと思い込んでいるサラリーマンの場合でも同じです。現役の間に病気などで亡くなる可能性は少ないとはいえ、家族、マイホームといった大切な宝を持った以上、万が一に備えて考えておくことが、責任ある者の基本姿勢だと言えるでしょう。

相続に対する自分の考えをしっかり残しましょう

では、いったい、どうすればスムーズな相続ができるのか。自分の思いをしっかり遺族に伝えることができるのでしょうか?

大事なことは2つしかありません。遺言についての正しい知識を持つこと。そして相続についての正しい知識を持つことです。あと1つ加えるとすれば、専門家の活用方法をよく理解しておくことでしょうか。

仕事や家事でもそうですし、自動車の運転でもそうですが「そんなのわかってる」と思わず反応してしまうときに、大きなミスが生じやすいものです。思い込み、古い常識や知識にとらわれていると、失敗しやすくなります。

時代は変化し、実際に相続をする世代は考え方も少し違ってくるものです。相続人がいつまでも「子ども」と思っていても、その子どもにも家族がいることもあり、それぞれに違う意見を持つようになります。

子や孫が金欠になって金融会社からお金を借りるなんてことがないように、思い通りに相続をしたいのなら、元気なうちにしっかり考えて、もめる原因を潰しておくことでしょう。ぜひ、取り組んでいただきたいと願っています。

遺贈という言葉があります。遺言によって、人や法人に遺言者の財産を無償で譲ることです。この場合の無償とは、一定の負担は要求できますが、対価性はないこと。「飼い猫の面倒を見ることを条件に」といった要求はできますが、「100万円で」といった要求はダメということです。

相続人全員が放棄してしまったときには、相続人が不存在として扱います。相続財産管理人が選任されて、裁判所の許可の下で財産を処分します。たとえば借金があればその返済をしたり、最後まで看病をしたといった特別縁故者がもし財産分与請求してきたときにその対応をして、最終的に余った財産は国庫に納めます。

養子も子として相続人になれます。実子と養子の区別はありません。ところが、再婚時にきちんと養子の手続をしていない場合は、再婚相手の子とはいえ、相続人にはなれません。この差は天と地ほどの差があります。養子には、特別養子縁組と普通養子縁組があります。